「そんなダサい格好で隣歩かれたくない。俺が苛々する前に準備整えろよ、命令」

優しさがあるだなんて思ったことがある自分を激しく撤回したい。


なんなんだ、この無神経男は!


だが逆らえない私は、渋々服を着替えて指示に従う他無い。

いつも通りのローテーションのTシャツにジーンズを着ると、洗面所に向かい軽く化粧を施した。


「……準備しました」

「行くぞ」


ソファーで準備を終えたようで携帯を弄りながら座っていた朝永さんに声を掛けると、勝手にズカズカ歩いて行く。

私は必死に後を追い掛ける。

歩き慣れてきた道を歩いて、私達は電車に乗った。