そして私はレジに並ぶ。

「二二八九円です」

キャッシャーさんから値段を告げられ、私は財布の小銭入れを漁る。


『トスン』


視界の端のお札受けに千円札が二枚乗った。
驚いて顔を上げると、カゴを掴んで袋に詰めるために台へと移動する朝永さん。

店員さんに「お金を……」と言われるまで呆然としてしまった私。
だってあの朝永さんがお金を払って、袋に詰めている。

初日はお金だって、袋詰めだってしようとしなかった理不尽な人。

私が倒れてから、朝永さんは変わった。

もしかして私に罪悪感があるのかな……?


「さっさと歩け。日が暮れる」

相変わらず口は汚いけれど、スーパーの荷物だって持っている。