それはきっと、私達の関係につけた名前が関わっているのではないか…と、思う。他人という言葉に傷ついた彼にとって、私は自身のとても近い場所に居る人間だったという事だ。それはもちろん私も同じなのだけれど、それでも私は恋してしまった分だけ、友達の肩書きを持つ私というものは、彼にとっては他人の括りなのだと思っていた。その他大勢にいつでも混ざって溶け込んでしまえるような存在なのだと。

しかし現に、その認識が彼を傷つけてしまった。という事は、そのまま答えを出すとしたら、私は彼にとって掛け替えのない存在だ、という意味になる訳で…彼の言う一番好きな友達とは、一体どんな存在なのだろう。一番大事とは、どれ程のものを言うのだろう。

今はもう手遅れかもしれないけれど、今更彼がどれだけ私の事を特別に思ってくれていたのかが分かったような気がした。だからといってあの素っ気ない態度の理由は分からないけれど、きっと私が何かしてしまったのだろうなと、なんとなく思う。外に目を向け始めた時期と重なっているように思うから。

そうやって 何度も思い返しては原因を探って、なんとか解決策を見つけようとする事なんて初めてだった。私は好かれない人間だから、私は必要とされないからと、今までずっと決まった言葉に嵌め込んで、勝手に仕方のない答えにしてきた。それではいけないのだと、今なら分かる。私は変わらなければならない。ここで諦めたら本当に終わってしまう。もう終わってしまっているのかもしれないけれど、最後の一度。一度だけチャンスが欲しい。

全ては私がいけなかった。私が恋なんてしたから。私が変わってしまったから。大切なのは彼と居たあの時間で、私は彼の求めるそれに応えるだけで良かったのだ。求め過ぎた、強欲な私がいけなかった。

もう一度、やり直すチャンスが欲しい。もう分かってる、身の程を弁えるから。君の傍に居られるならそれでいいから。私に失恋を教えてくれた君に教えて欲しいのだ、私はあの時、君にとってどんな存在だったのかを。どれだけ大事に思ってくれていたのかを口で、態度で、教えて欲しい。そうすれば、君の彼女になりたいと少しでも思った愚かな自分から脱却出来る。君の大切な人にまた戻れるのならばこの気持ちは置いていくと、もう決めた。