大事にされたいのは君


ーー『無駄に優しいから勘違いする奴が多いけど、あいつはあいつのやりたいようにしかやらない。寄り添ってくるのだって特別じゃない、言うなら平等。平等に優しくて、平等に冷たい』

以前語られた三好君の言葉が、こんなにも今は身に沁みる。彼はこうなる事が、目に見えていたのかもしれない。

「そうだね、嫌われた訳じゃない。一番じゃなくなったってだけだ」

「…何の話?」

「私の順位の話。瀬良君の中で私は今何位?」

はっきりと口にしてやった。こんな事を無意識にしている彼の残酷さを、責め立ててやりたかった。自分から傷付く準備までしていた癖に今更こんな事を言って、本当に私は嫌な奴だ。でもなんだかスッキリした。これで終わるなら一層の事と、やけになった自分がいた。

さて、どう出る?と、君の本音を見せてみろと、動揺する様をじっくり観察してやろうと彼の表情を窺った。しかしそこには、私の思っていた彼とは違う彼が存在していた。

「…そんな事、思ってたの?」

信じられないと固まる彼が、ようやくといった様子で口を開く。

「ずっとそんな風に思いながら、俺と居たの?」

そしてふつふつと湧き上がる感情を隠そうともせず、全面に曝け出す。

「吉岡さんは俺の事、そんな奴だって思ってたの?」

そこに込められた感情は、怒りだった。私はこの時、初めて彼の怒りに触れたのだ。その瞬間、サッと私の中で込み上げていた熱が引いていき、冷静になった自分が顔を出した。

私は、とんでも無い事をしてしまった。

「あ…その、ごめん、そうじゃなくて、」

「そうじゃないって何が?だったらどこからそんな発想が出てくんだよ」

「……」