あまりにも冷たい、冷めきった答えが私の知らない奥底から込み上げてきて、ゴロリと外へ転がり落ちた。

傷つきたくなくて、傷つかない答えを見つけて、納得した先の答えがこれだったのだ。彼との関係を始めるにあたって、カチッとはまった答えはこれ。そうだった、そうでなければ始まらなかったのだ。それでいいと私が割り切った所から始まったのだ。私が良いからそれで良いと。最後に痛い目を見ようがそんなのどうでもいいと、あの時私が決めたのだ。それが今言葉にするとこんなに冷たい形になっていた。不思議だ、あの時私は暖かな気持ちだったはずなのに。

「随分あっさり冷たい言葉を吐き捨てるんだね」

私の答えを聞いた三好君は、素直に嫌悪感を漂わせて答えた。この人はきっと嘘をつかない人なのだと、なんとなくここまでのやり取りで分かった気がする。私もきっと他の人にこんな告白をされたら同じ気持ちを抱くと思う。

「私は瀬良君があっさり人を捨てられる人なのも知ってるし、捨てられる時に傷つかない理由が無かったら親しくなろうとも思わなかった。簡単に人の好意を無下にする人は本当は好きじゃない」

「あいつと仲良くなるにあたってそれは必要だったと」

「そう。私だって傷つきたくないからね」

「…吉岡さんはちゃんとあいつの事見てるんだね」

感心したような声が返ってきたけれど、三好君の表情に特に変化は無かった。

「あいつ、今回はいつもと少し違うから心配してたんだけど、吉岡さんくらい冷静な人になら大丈夫かもしれない」

「そうだといいなぁ」と、ポツリとこぼした彼の言葉に何か返そうとした瞬間、ドタドタと大きな足音と共に聞き慣れた声が耳に飛び込んできて私達の会話は強制的に終わりを迎える事となった。

「おまたせ吉岡さん…って、おまえまだ帰ってねーの?」

「もう帰る。じゃあまた、吉岡さん」

「あ、うん。またね、三好君」