すると次は同じような勢いで、ガバッとこちらに顔を向けてきた。首が痛くなりそう。
「だ、だって悪いし…」
「悪く無いよ!俺が来たくて来てんだから!」
「じゃなくて、君の周りの友達に…」
「は?友達??」
訳が分からないと、何故か怒った様子で瀬良君は私に聞き返す。その勢いに圧倒されて一瞬思考停止状態になったけれど、とりあえず何か答えなければと口を開いた。
「こ、こんなに毎回来てて、みんなには何か言われないの?」
「何かって?」
「例えば、行かないでって止められるとか、またなのってウンザリされるとか」
「言われたとしてなんで俺がしたい事我慢しなきゃなんねーの。アイツら別に一人になる訳でもないし」
「でも君が居る方が楽しいに決まってるじゃん」
「そんな訳ないって。俺が一人居ようが居まいが何も変わんねぇよ」
「変わるよ!君はそういう人なの!」
「……」
急に黙った瀬良君に、思わずヒートアップしていた私も同じように口を閉じた。一回冷静にならないと。だって彼の猫のような瞳でやけにジッと見つめられて居心地が悪い。私は変な事を言ってしまったのだろうか、それすら分からない。
「じゃあさ、吉岡さん」
「はい」と、内心冷や汗をかきながら彼の呼びかけに応えた。
「そんな俺がここに居て、嬉しい?」
「……」
声を出せずに見つめる先には、吸い込まれるような彼の瞳。それは正に真剣そのもので、どうやら本気で私の気持ちが知りたいらしい。



