大事にされたいのは君


「…いいの?」

色々な感情が混ざり混ざった中で、色濃く滲む期待の色。余計な事を一切口にする事なく、それが映る瞳で彼は私を見つめる。

「うん。私もやっぱり自分勝手だった」

そう言って笑えば、彼も釣られたように笑った。


そしてこの日から、私達の関係は始まった。

付き合い始めたとかそういう訳ではないけれど、何となくお互い特別に思っているような、友人の枠の中にいるようでいないような、でも親友でも恋人でも無い、もちろん兄弟でも幼馴染みでも無い…私達だけの関係が、始まったのだった。