さて、どうするか。

選択肢は今の所二つ。教室で堂々と一人ですけど何か?の雰囲気を醸し出してお昼を乗り切るか、チャイム直後の喧騒に紛れてそっと教室を抜け出し、一人のお昼を過ごせる場所に移動するか…出来れば後者を選択したい。だって教室には瀬良君も居る。一人で食べている所にあのボリュームで声なんて掛けられた日には、クラス中から一人で食べてるんだ…の視線を集める羽目になる。でも一人で食べるのに最適な場所なんて、そうそう見つからない…

「はぁ…」

溜め息をつきながら出て来たトイレの個室。手を洗いながら、そういえば一人でトイレでご飯を食べる話をどこかで読んだ事があるな…なんて思い出して、いや流石にそれは無理だと、心の中で大きく首を振った。なんだったかな、便所飯とかって言ってたかな。そこまでは…だったら教室で心を決めて食べた方が良い。トイレで我慢して食べたとして、万が一食べてるのを見つかってしまった時はより悲惨な事になる。

どうしよう。空いてる教室があったとしても誰も来ないとは限らないし…と、色々模索しながら女子トイレを出ると、ふと教室の方とは反対側にある階段が目に入った。

そういえば、この上は移動教室で使う特別な教室が並んでいる階だから、昼休みに特に用のある生徒は居ないはずだ。そしてその更に上は屋上。うちの学校では屋上は立ち入り禁止になっている為、そこにも誰も近づかないはず。つまり、この階段の一番上、屋上のドアの前辺りなら誰にも気付かれずにひっそりゆっくりお昼を過ごす事が出来るはず!

それだ。それだよ!

よし場所は決まったと、後は私の覚悟を決めるだけだと、それからは昼休みに向けて気持ちを固める事に専念した。向かった先に誰か居たらどうしよう。そしたら謝ってそのまま戻ってそれで…うん、下の教室で空いてそうな所全部回るか。きっと一つくらいあるはずだし、無いなら無いで思い切って中庭に出るのも良い!いや逆に人目につく!けどまぁ最終手段だし、なんなら食べなくてもいい!