俺は要らない?
それはどういう意味なのだろうか。また私に話したい事があるだとか、それとも三人もありだよなとか、そこら辺の選択肢で答えが返って来るものだとばかり思っていた。朋花ちゃんが居る時俺は要らないって?そりゃあ朋花ちゃんと話してる時に来られてもアレだけど、まぁだからって居ない時なら彼が要るかって言われるとまたなんとも…
「あ!別に長濱居なくても俺は要らないって思ったでしょ!」
「!すごい、正解」
「ひでー!優しい嘘くらいついて!」
「本当吉岡さんそういう所だからなー」とか言いながらジトッとした目で私を見て来る瀬良君。
「そういう所が、何?」
ついに怒らせてしまったかと、少し緊張しながら聞いてみた。これは説教タイムだろうか…だから友達出来ないんだよとか言われてしまう気配に内心ビクビクする。
「俺的に、マジでツボ」
のは、無駄な心配だった。そうだった、この人はそういう人なんだった。私に好かれて無いからここに居る変な趣味の人なんだった。それにしてもツボって…もしかしてバカにされているのだろうか…
そこそこの溜息をついて、私は立ち止まっていた足を再び動かして校舎へと向かった。するとその隣を当たり前のように瀬良君も同じペースでついて来て…たった今溜息をつかれた相手なのに、なんだかなぁ。
本人は私に嫌われてるというけれど、別に嫌っている訳ではない。ただ、苦手だ。向こうの気持ちも読めないし、どこまで真面目に取り合っていいのか分からないし、結局最後に傷つきたくないし…で、物凄くこの状況に戸惑っている。多分私以外の誰も気づいてはいないだろうけれど、私は戸惑っているのだ。
彼は一見軽そうに見える。言ってる事も適当に見える。私はそういう人が苦手で、そういう人には適当な態度であしらっても良いとすら思っている。
でもふとした時の彼の一挙一動が私の中で存在感を残した。その残った大きさが、私を不真面目に見える彼と真面目に取合せる原因なのだ。さっきの言葉もそう。一体どういう意味であんな風に言ったのだろう。まるで私が彼を必要としている時にだけ声を掛けに来てる、みたいな言い方だ。自分の都合では無く、私の方の都合を優先して、私の為に動いている、みたいな…



