真鍋さんが教室を出て行く後ろ姿を、私達は何も言わずに見送った。彼女の語った全てに私は共感するばかりだった。私達は同じなのに何故?それは私も抱いた疑問。それに彼は私を自分の根っこの部分なのだと答えた。加えて、私と知り合う前から好きだったのだという事実を告げる。
「…君は、私の事、いつから知ってたの?」
今までに気になったタイミングは何度かあった。けれど、一度も尋ねた事は無かった。それでも何となく分かっている事もある。
「一年の頃の私の事、知ってるよね?」
「……」
それは、私が友達と拗れてしまい、クラスに馴染めず孤立した一年間を過ごした過去。わざわざ人に話した事は無かった。誰がどこまで知っているのかも分からない。朋花ちゃんともその話はした事が無い。
「…現場に居たんだよな」
「…え?」
「俺。由梨ちゃんがキツイ事言われてる時、教室の外に居たんだ」
そして瀬良君は申し訳なさそうに眉間を寄せて、そっと私から目を逸らした。俺さ、と、意を決したように彼は口を開く。
「始めは由梨ちゃんの事、苦手だったんだよ。他人と自分は関係ありません、みたいな顔していつもすましてて、俺とは正反対の生き方してんなって」
そんな事を言う彼に、「苦手に思うくらい私、視界に入ってた?」なんて尋ねると、「入学した時から由梨ちゃん目立ってたから」と返って来た。目立っていたからつい目に付いたのだと。もちろん私にその自覚は無い。
「そんで勝手に寂しい思いなんかした事ない人間なんだなって決めつけてた。自分から人に縋る必要無い恵まれた人っつーか…でも違った。由梨ちゃんと同中の奴から事故の事聞いて、両親が不在の俺と近いのに俺と正反対な生き方してる由梨ちゃんの事、単純にすげぇなって尊敬するようになった。この人は寂しさを一人で乗り超えようとする人なんだって」
「……」



