「吉岡さんと私の何が違う訳?!」
叫ぶように吐き出された彼女の想い。全ては、ここに詰まっていた。
私と彼女の何が違うのか。私の胸にも突き刺さったその問いは、私の中でも答えが出せなかった。
私しか知らない彼が居る事を宝物のように思っていた。そんな彼を支えられるのは私だけという妄想に酔い、いつの間にか彼を必要としているのは私の方になっていた。彼の寂しさで、私の寂しさを埋めていた。それが恋の始まりだった。
私と彼女は同じだ。
「違うよ」
ハッと目をやった。それは瀬良君の言葉だった。彼は真っ直ぐに彼女の目を見据えて、ハッキリと告げる。
「だって俺、ずっと吉岡さんが好きだった」
その言葉に、辺りがシンと静まり返ったかのように何かが張り詰めた。私の感情やら意識やらが色んな所に騒めいていたけれど、今は全てがその一点に集中している。きっと真鍋さんも同じだろう。瀬良君は、当然の事を口にするような毅然とした態度で私達に言った。
「俺が一方的に吉岡さんを尊敬してただけだけど、知り合う前からずっと俺は吉岡さんに憧れて、諦めて、それでもまた縋って、勝手に支えにしてきた。吉岡さんは吉岡さんであってくれるだけで俺の支えになんだよ、おまえと吉岡さんを比べるのは筋違い。悪いけど同じ土俵にもたってねぇ」
…それは、今彼から明かされる彼の真実であった。私の知らないそれはどうやら真鍋さんにとっても同じらしく、驚きながらも納得のいかない様子で彼女は彼に食い下がる。
「筋違い?同じ土俵にもたってない?吉岡さんならそれだけで支え?」
彼女は鼻で笑って瀬良君に問う。
「じゃあなんで、なんでそんな大層立派な支えがあるくせに、ずっと寂しいままだった訳?私が必要だったのは本当じゃん」
「私を受け入れて利用してきたのは事実だ」と、彼女は何度も確認するように言う。私を跳ね除けてこなかったのは私が必要だったから。私の気持ちを知ってて、だからこそ私を選んだのはそっちだ、と。
「…確かに、真鍋が居たから忘れられた時もある」



