「…なんでよ。いつもと同じだったじゃん。いつもは彼女居ても居なくてもこんな感じだったじゃん。瀬良の彼女と瀬良と私で遊んだりもしたし、彼女と別れた時はいつも私の所に戻ってきたじゃん」
彼女は絞り出すように彼と自分の過去を語り、キッと強い瞳で瀬良君に向き合った。彼女の口から知らされたそれは、私の知らない彼の事実だった。
「瀬良はいつも寂しがってた。瀬良はいつも不満そうだった。私はちゃんと分かってる、みんなが分かってなくても私はあんたの事全部分かってる!だから今回だってまたそうなるに決まってる!私が居ないと瀬良は、」
「それが必要ないって言ってんの」
無情にも、彼はバッサリと切り捨てた。
「それに誰も頼んでねぇ」
前も、今も。と、彼女の思いを何の感情も汲み取らない冷え切った瞳で、あっさりと捨て置いた。そんなあからさまな彼の態度に、彼女は息を呑む。
「全部吉岡さんは分かってるし、吉岡さんのおかげで俺も知れた。もう真鍋には関係ない」
「何、それ」
彼女の声は、静かに重くその場に落ちた。それはきっと、奥に閉じ込めてきた彼女の想いの蓋の部分だった。
「関係ない?あれだけ私を頼っておいて、もう関係ない?…私の方が早かったのに」
押し寄せる感情。
「私の方が、早かったのに!」
ーー蓋は、開かれた。
「私は瀬良を支えてた!支えてたよね?頼ってたじゃん、瀬良は私に連絡寄越してたじゃん!私だけがあんたの寂しさ分かってあげられてたじゃん!それが何?今吉岡さんが知ったとして、それって結局私と一緒じゃないの?私だって良くない?私の方が良くない?だって前から支えてたのは私だよ?なのになんで吉岡さんなの!」



