大事にされたいのは君


「最近どうしたの?よく俺の事見てんよね?」

自宅に帰り、いつものように二人で並んでソファに座り、家事の合間に休憩を挟んでいた時だった。

なんだか嬉しそうに私に尋ねる瀬良君につい、反応に困って苦笑いを浮かべてしまった。すると彼は「あれ?なにその反応」と、訝しげに私の顔を覗き込む。

「いや、ちょっとね…」

「ちょっとって何?」

「ちょ、ちょっと気になって…」

「俺が?」

ニコリと微笑み首を傾げる瀬良君。そんな風に言われたら否定…する訳に…いかないよね…と、そういう事にしようと心に決めて口を開こうとした瞬間、

「なーんてな。ほんとは分かってんだけどさ」

そして彼は言う。「困った事にはなってない?」と。

「何も、困ってはないけど…」

「何も起きてない?」

「起きてない…え、何か起きそうなの?」

なんだそれは、怖い。不穏な動きがやっぱりあるのだろうか。例えばあの、未だに顔も知らない瀬良君の女の人とか…

「いや、起きない」

「起こさない」と、もう一度キッパリと彼は告げると、私を見つめる。

「明日の放課後、ちょっと用あるから先に帰ってて」

「え?」

…この流れでそんな事を言うという事はつまり、そういう事なのだろうか。

「…一緒に来る?俺は別にいーけど」

「……」

何があるのか、どうするつもりなのか、何も教えてはくれない。けれど瀬良君は察しているはずなのだ、私が何の話かなんとなく気がついている事に。分かった上で、説明は今はしないと。気になるのならそこに来いと。確かにここで何を言われるよりもその現場で全てを確認した方が間違いが無い。拗れる事もすれ違う事も無いし、手っ取り早く正確だ。

「…行く」

私は、心を決めて強く頷いた。