「へぇ、楓は子供の扱い慣れてんだな。」
「ありゃ、放置しててごめんね。夏生。
んー、あれは扱いとかじゃなくて昔のわたしに重なってるところがあったからかな?」
「ん、大丈夫。
さっきのと重なるってどこら辺が重なってんの?」
「夏生は気づいてるか分からないけど、優くんいじめられてるよ。
その雰囲気とか表情が私のいじめられてた頃と重なってたの。」
「...そっか。」
夏生は少し悲しげな目で私の髪をくしゃくしゃにする。
そう、わたしも優くんくらいのときに一部の人からいじめられていた。
毎日が悲しくて、寂しくて、切なくて。
誰も味方がいないことに劣等感を感じて学校を休んだりした。
でも、そんなことをしても何も変わらないと分かってからは毎日休まず学校に行った。
わたしをいじめていた人達には「こんなくだらないことしないで」って叫んだら顔を真っ赤にしてそこから何もされなくなったからすごく嬉しかったっけ。
そこから中高と周りの人に恵まれていじめのことを忘れていたけど、今日の優くんを見て色々思い出してきた。
もう何年も前の話なのに思い出すだけで不安になってきたわたしは、自然に夏生の方を向いて
「ねー、夏生。夏生はわたしから離れないでね?」
なんて言っていて。
自分で言ったくせに恥ずかしくなったわたしはちょっと俯きながら返事を待っていると
「大丈夫。俺の好きな楓から離れねぇよ。」
って真剣な顔つきでこっちを見るもんだから「本気で想ってくれてるんだな」って感じる。

