(こんな寒い夜はあの日を思い出す…)

あの日というのは、
私がお菊さんの家に居候して
一か月ほど経ったある日のこと。

猫がいなくなったという女の子が
あまりに必死に探して探していたので
一緒に探したのだが、
なかなか見つからず
ようやく発見したときには
辺りは真っ暗闇に包まれていた。

女の子は先に帰らせていたからよかったものの
猫を女の子の家に帰した後家に帰ると
お菊さんと佐介さんが寝ずに
私の帰宅を待ってくれていた。
そのあとめっちゃ怒られたけどね…。
……でも誰かに怒られて嬉しいと思ったのは
初めてだった。


「………早く帰ろう。」

じわりと温かくなった心が
寒さで動きが少し悪い足を速めさせた。








この先に
どんな運命が待ち受けているかも知らずに…。