人は、いつ何が起きるか分からない。


その事を俺は何も考えていなくて、まさかその事実を突きつけられる瞬間が来るなんて思ってもいなかった。





長かったようで短かった夏休みが終わって、二学期が始まった。
二学期は、すぐに体育祭の練習や定期考査が入ってきて大忙しだ。


「えー、体育祭に出る種目を決めまーす」


学級委員長が前に出て、黒板に体育祭の種目を書き始めた。
100M走、リレー、騎馬戦など様々な種目名が書かれた。


「尚、男子は組み体操、女子は応援団は決定事項でーす」


ザワザワとクラスメイトたちはそれぞれ何にするか話をしている。
俺は、一番後ろの席から頬杖をつきながら黒板を見ていた。
これに出たい!と強く思う種目はない。
でも、出来れば集団でするものではなく、個人競技の方がいいな。


そんなことを考えながら黒板を見てみると、前の席の男が俺の方を振り返った。

「なぁ、吉田、お前何にする?」
「、え?」


まさか、振り返られるとは思わなかったので、反応が遅れてしまった。


「え?って種目だよ!何にする?」


男は、きさくに話し掛けてきた。
確か・・・牛島 全、という名前だったと思う。
クラスは一緒だが、今まで関わりのない人だった。