「何?彼女とデートでも行くの?」
「彼女じゃない・・・友だち」
「ふーん、女の子の友だちねぇ・・・」
ニヤニヤと母さんは含み笑いをしている。
彼女じゃないといったのに、母さんには一緒に出かけるのは女だとバレてしまっているみたいだ。
恐るべし、エスパーなのだろうか。
「で、どこか知ってるの」
ちょっとぶっきらぼうに聞いてしまった。
でも、母さんは気分を害した風もなく、うーんと悩む。
「隣町に行ってみたら?ショッピングモールやゲームセンターやら色々あるでしょう?」
母さんの答えは、さっき俺が一瞬考えたことと一緒だった。
「それは、俺も思ったけど、なんかちょっと違う・・・」
だって遊園地に行きたい、なんていう子だ。
ということは体を動かしたいのだろうか?
だったら、ゲームセンターでもいいか?いやでも・・・。
頭の中をぐるぐると思考が巡る。
なんでこんなに俺が悩まなきゃいけないんだ。
「なんか、こう・・・じっくり楽しめるような・・・」
「じっくり?」
そうだ、ゲームセンターとかは楽しめるが一瞬だ。
遊園地も同じ。
でも、なんかそうじゃなくてゆっくりとじっくりと楽しめるものをしたいと俺は思った。
きっと転校生も共感してくれるだろうとない根拠を感じた。
「あ!じゃあ、いいわ。いつ遊びに行くの?」
「あ・・・日にちは決めていない」
「まず、日にちを決めてしまいなさい」