でも、そんなすぐに名前で呼ぶなんてことできるはずもなく、こうして訂正されてしまう。


コミュニケーション能力が限りなく低い俺にとって、転校生を名前で呼ぶなんて最上級の試練なんだ。


「えっとね、私も実は特に決まっていないんだよねー」
「なんだよ」
「家族でどこかお出かけはするかもだけど・・・あ!良いこと思いついた!」


転校生は、ポンッと両手を合わせると満面の笑みで俺を見上げた。
なんだけ、嫌な予感がした。


「い、良いこと?」
「そう!一緒に遊びに行こう!」
「・・・え?」
「あ・そ・び・に!」


俺と、転校生が一緒に遊びに行くだって?
一体全体どうしてそんな発想に至るというのだろう?


「ーーーーあ、俺予定思い出した」
「!夏休みは長いでしょ!予定のない日にいける!」
「・・・・・ちなみに、どこに」


もう、転校生の中では俺とどこか行くと決定してしまったようだ。
俺は、とりあえずどこに行くかだけ聞いてみることにした。


「んーーーと、・・・遊園地!!」
「・・・・」
「隣の県の有名な遊園地、私まだ行ったことないんだよね」


隣の県の有名な遊園地といえば、よくテレビとかで特集が組まれていて、いつも人の多い場所だ。
アトラクションに乗ることですら30分以上待ち時間があるという。
そんなところに行きたいだって?