「ーーーなんか、楽しそうね」


朝、リビングで朝食を食べていると母さんに言われた。


「・・・は?」
「最近のあんた、活き活きしているなって」


俺の向かい側に座った母さんは、頬杖をついて俺の方を見ている。
その顔は、ニヤニヤと笑っている。


「なにそれ」
「いいことでもあったの?彼女ができたとか」


女の人って、本当いくら年を取ってもそういう話が好きなんだな。


パパッと朝食を食べた俺は、食器を重ねて立ち上がった。


「彼女が出来るわけないだろ」
「なんで、あんたお父さんに似てパーツはいいんだから」
「意味わかんね」


流し台に食器を置いて水に浸してから、俺はこれまたパパッと歯磨きをして身支度を整えた。


リビングに戻れば、相変わらず母さんはニヤついていて、視界には入れずに壁に掛かっている時計を見ると、いい感じの時間だ。


「時間だ。行ってきます」
「あらあら、時間なんてあんまり気にしない子だったのにねぇ」
「・・・」


態とらしい言葉を聞き流して、鞄を持った俺は靴を履いて家を出る。
いってらっしゃいと奥から声がしたが、きっと母さんには聞こえていないだろうが、俺は小さくいってきますと返した。