「こだわっているわけじゃないよ。ただ、私は真司君と一緒にいたいとおもっているだけ。ただ、それだけだよ」
「・・・」
「たくさん友だちがいたとしても、私が真司君と一緒がいいの。たとえ、誰が何を言ってもね」


「ーーー変な奴」


心の底からそう思った。
俺なんか、そんな風に思ってもらえるような人間じゃないというのに。


「変な奴?酷いなー」
「変な奴だよ、転校生」
「転校生じゃなくって、莉桜菜って名前があるんですけど」
「あぁ、そうだったな。転校生」
「だーかーらー」


自然と、俺の隣に転校生が並んだ。

もう、さっきまでの暗い表情の転校生の姿はなくなっていた。


「ねぇ、真司君」
「なに」
「また、一緒に帰ってくれる?」


転校生が俺を見上げてくる。
その目には、少し不安の色が見えた。
ここは、素直に頷いてやった方がいいのだろうか。
でも、少し、ほんの少しだけ意地悪をしてやりたいとも思った。


「ーーーさぁ?俺は待つことはしないから」
「!私が真司君を待つ!」
「やれるもんなら」


必死に言ってくる転校生に俺は笑ってしまった。




「あ!」
「?」
「真司君が笑った・・・」


驚いたような転校生の声。


笑った?俺が・・・って。


「笑うけど、俺も」


人形かなにかではないんだから。


「ですよね」


転校生が笑う。


今のこの時間が楽しい。


素直にそう思った。