「別に必ず一緒に帰らなくちゃいけない理由なんてないはずだ」
「え、」
「というか、これから先俺は1人で帰る」
「なんで?」
「なんで?1人で帰りたいからに決まっているだろう?」


そう、今までそうだったんだ。
前までに戻る、ただ、それだけだ。


「・・・どうして、そんな悲しいことを言うの」
「お前には、関係・・・」


転校生の眦から涙が一粒零れ落ちた。
俺は、息をのむ。
なんで、転校生が泣くんだ。


「私はただ、真司君と仲良くしたいだけなのに」


いつも笑顔だった転校生が泣くなんて思ってもいなかった。
なんでだ?別に一緒に帰らなくてもいいじゃないか。
そんなに悲しむことでもないじゃないか。


「・・・」


俺は、言葉を紡ごうとして、また口を閉じる。
そして、脳裏に蘇るのは、今日言われた転校生の友人からの言葉だった。


「・・・俺じゃなくてもいいだろう」
「え、」
「お前は、たくさん友だちもいる。他の男たちにも仲良くしたいって思っている奴らばかりだ。何も俺じゃなくてもいい。・・・正直、迷惑だ」


転校生の友人からの言葉も、俺を取り巻く環境の変化も迷惑でしかない。
俺は、数少ない友人がいて、何事もなく毎日が過ぎていけばそれでいいんだ。


それで、いいんだよ。