次の日、いつものように朝家を出てから通学路を歩いていると、視線の先に転校生の姿が目に映った。
転校生は、ふと顔を上げると俺の姿を目に写して笑う。
「おはよう!真司君」
「・・・おはよう」
「なんか暗くない?朝ご飯食べてきたの?」
「暗くて悪かったな。飯も食べてきたし・・・てか、なんでいるんだよ」
「え?一緒にいきたいから」
2人並んで歩き出す。
帰りは一緒になるが、朝こうして共に行くなんて初めてじゃないか。
特に違和感もなく、隣にいる転校生との距離がなんだか心地良い気がする。
「今日は、数学あるよね?」
「あぁ」
「宿題してきた?」
「ぼちぼち」
今日の一日のことを話をしながら学校に向かう。
天気は、晴れ。
どこかに出かけるなら良い日となるだろう。
あぁ、どこか遠くに行ってみたいな。
学校とか色々忘れてそうできだらどれだけ良いことだろうか。
思うだけで、行動なんかは出来ないけれど。
「ねぇ、真司君」
「なに?」
「今日は、歌歌いに行くの?」
目をキラキラさせながら転校生が見上げてきた。
「行く時は言うって言ったと思うけど」
「そうだけど、なんだか教えてくれない気がしたから」
図星だ。
意外に賢いのか。
「・・・ちゃんと教える」
「なら、良いけど」
ふふっと転校生は笑った。


