「あれ・・・真司、君?」
名前を呼ばれて顔を上げると、目を丸くしながら俺たちの方を見ている転校生が、そこにいた。
俺と目が合うと、転校生は笑顔になる。
「やっぱり、真司君だ!」
「・・・転校生」
「私には、莉桜菜って名前があるんだけど」
転校生は、苦笑しながら俺たちの側にやってきた。
そして、俺たちが持っているギターを見つけると、首を傾けた。
「ギター、真司君弾くの?」
「・・・少し」
「すごいねー」
興味津々に転校生はギターを見ている。
ちょんちょんって横っ腹を小突かれて、隣を見ると光平がニヤニヤしながら見てきていた。
「なに」
「なぁ、この子誰よ?えらい仲よさげじゃん」
「どこが」
「またまたー、ねぇ、キミ真司の学校の子?」
光平は、にこにこ人当たりのいい笑みを浮かべながら転校生に話し掛けた。
「うん、そう」
「真司と仲いいの?」
「うーん、仲が良いというか、私がアタック中、かな」
「へぇ!こいつのどこが良いの?こいつ、無愛想であんま話さないだろう?」
俺が隣にいるのに好き勝手光平は言っている。
一発殴ってやろうか。
そう思って実行に移そうと思っていた俺だったが、次の転校生の言葉に固まることになる。
「どこがいい、というか真司君そのものがいいの」
「え」
「無愛想でもあんまり話さなくても真司君がそうなら別に良いと思うよ」
「・・・・だとよ」
光平に話を振られても俺はどう答えたら良いのか分からなかった。


