「そうだな」
『初めて、見たよ・・・見れて、良かった』


莉桜菜が叶えたいリストに書いてあったことが、ここで叶うなんて思ってもいなかった。


「良かった・・・」
『うん・・・手紙、見てくれた?』
「あぁ・・・反則だったよ」
『へへ・・・中々言えなくて』


でも、しっかりと莉桜菜の気持ちは俺に届いた。


「嬉しかったよ」
『よかった・・・・本当は、口でちゃんと直接言いたかったんだ』


ざぁっと風が吹いて、桜の花びらが舞う。
長い髪が風に遊ばれる。


『真司君、ずっと言えなかったけど、好きでした』


まっすぐな瞳で俺を見る。
その言葉に全ての思いが込められていた。


俺は、一つ頷いた。


「莉桜菜、ずっと言いたかったことがあるんだ」

『何?』


「莉桜菜・・・ずっと言えなかったけど、好きだ・・・これからも」


『ふふっ・・・やっと聞けた』


莉桜菜は、笑う。
そして、俺の前まで来てそっと身を寄せた。
触れられないと分かっているのに、俺も手を伸ばした。
でも、おかしい。
莉桜菜に触れられる。微かに温もりも感じる。
これは、一体どういうことなんだろうか。
でも今はどうでもいい。
これが夢でも何でも、莉桜菜が側にいるんだから。


『聞けて、良かった』
「あぁ、」
『好き』
「俺も好き」
『でも、私より好きな人が出来たら、その人を大切にしてね』


顔だけ上げて莉桜菜は、言う。
その目の端に小さな涙を見つけた。
口ではそういうくせに、心は正直だ。