俺は、22歳になった。
高校も卒業して、もうすぐ大学も卒業する。


「おーい、真司!光平!行くぞー」

「おーーほら行くぞ」

「あぁ」


光平に促されて、俺は歩き出す。



5年前のあの日、光平からかかってきた電話は、なんとオーディションに合格したという話だった。
まさかとは思ったが、驚いた。
それからは、事務所に所属しながら地道に活動をしてきた。
莉桜菜のところに届くくらいの歌を歌い続けるために、立ち止まることはなかった。


大きな事務所だから、後ろ盾はしっかりとしていて、俺たちの活動を支えてきてくれた。
そのお陰なのか、よく分からないが5年で俺たちの知名度はぐんっと上がった。
2人での活動が、メンバーを増やして6人でバンドとして行っている。
ありがたいことに、ファンもつくようになり、今週、大きな会場でコンサートを控えている。


今日は、メンバーと一緒に打ち合わせをする日になっていた。
行く前に俺は、この公園に来たかったのだ。


今年も桜が咲く頃だったから。