莉桜菜、俺はこれから莉桜菜のいない毎日を過ごしていく。
でも、もう悲観なんかしない。
莉桜菜の分まで一生懸命生きていく。
オーディションは、どうなったんだろう。
どっちにしても莉桜菜のところに届くように歌い続けるよ。


莉桜菜、ありがとう。
俺も好きだ。
これからも、ずっと。


「・・・・さようなら」


別れの挨拶。
ずっと言えなかった言葉だったけれど、やっと言えた。


さようなら、また、いつの日かキミに会う日が来るだろうか。
俺の人生のレールの終着点はどこだろう?
きっとずっと、ずっと先なんだろうな。
その先に一体何が待っているかな。


キミが、待っていてくれたら嬉しいな。





「ーーーありがとうございました」


俺は、玄関で靴を履いて、莉桜菜のお母さんに頭を下げた。


「こちらこそ、来てくれてありがとう。受け取ってくれて莉桜菜も喜んでいるわ」
「はい」
「でもね、これからは気負わなくてもいいわ。あなたにはあなたの人生があるのだから」
「大丈夫です・・・・また、来ても良いですか?」
「えぇ・・・もちろんよ・・・それと、これ」

莉桜菜のお母さんに、手渡しされたのは俺が莉桜菜にプレゼントしたネックレスだった。


「これ、」
「何回かしか身につけることは出来なかったけど、本当に大切にしていたわ・・・あなたが持っていた方が、いいかなって」

俺の手のひらにのせられたネックレス。
そこから、もうない莉桜菜の温もりが伝わってくるかのようだった。
ぎゅっと握りし俺は、ネックレスを自分の首に提げた。
そして、もう一度頭を下げてから莉桜菜の家を出た。


太陽の光が、眩しい。
こんなに、明るかったかな。


歩きながら、ポケットに入れていたスマホが鳴った。
ショートメールかと思ったが、どうやら電話のようだ。
スマホを取り出すと、光平からの電話だった。
何かあったのだろうか。


「・・・・光平どうした?ーーーーーえ??」