どうしてこんなに常に笑顔でいられるのだろうか。
俺は、特に転校生を喜ばせるようなことは言っていない。


「ーーーどうして、いつも笑顔なんだ?」


アイスを買って、食べ歩く。
俺は、転校生に向かって気になったことを聞いてみた。
アイスを食べていた転校生は、一瞬きょとんとした表情になった。


「なんへ?」


もごもごとスプーンを口にくわえながら首を傾ける。


「気になったから」
「ん、んーと特に常に笑顔ってわけでもないと思うけど・・・」
「そうか?いつも笑っている気がする」


一口、チョコ味の棒アイスを口に運ぶ。
口にくわえた瞬間、チョコ味が口いっぱいに冷たさと共に広がる。


「そうかな?でもさ、怒っているよりはいいと思うよ?」
「それはそうだと思う」
「それに、笑顔でいたほうが、楽しいじゃん?」


そう言って俺を見上げて笑う転校生は、本当に眩しく感じた。
羨ましいな、と思った。
きっと、転校生の心は綺麗なのだな、とも思った。


「・・・そうか」
「うん。だからさ、真司君も笑顔になったらいいよ」
「・・・・なれたらな」


きっと、転校生みたいな綺麗な笑顔は出来ないだろうな。


俺は、心の底から思った。