莉桜菜のベットには、千羽鶴が飾られている。
俺と、そしてクラスメイトで作った物だった。
このままではいけないな、と思い、俺は莉桜菜のお母さんに承諾を得て、クラスメイトに話した。
莉桜菜の今の状況、そしてこれからどうなるか。
何故、今まで、皆に本当の事を言えなかったのか。
黙っていた俺はそれはもう非難囂々だった。
特に、莉桜菜と仲が良かった女子は、どうして教えてくれなかったのか、と嘆いた。
でも、それは莉桜菜が望んだことだったから仕方ない。
俺は、莉桜菜の意思を尊重したのだ。


全が「千羽鶴を作ろう」と言ってくれたので作ることになった。
それと、メッセージボードもある。


莉桜菜は受け取ると、泣いて喜んでいた。
大事に病室に飾られている。
それと一緒に、俺たちの晴れ着の写真も飾られていた。


「ね、しん、じく」
「ん?」
「ゆ、きは・・・ふるか、な」


寒いが、今日は雪が降るような天候ではなかった。
昨今は、温暖化ということもあって雪はめっきり降らなくなった。


「・・・降れば良いけどな・・・いつになるか」
「そ・・・か」


ふぅ、と莉桜菜は息を吐いた。
疲れさせてしまったかな、と思い、今日はもう休ませようと口を開く。
しかし、その前に莉桜菜が言葉を紡いだ。


「ね・・おね、い」
「ん?」
「おか・・さ、おと・・さ、」


莉桜菜が何を言いたいのか伝わってきた。
全てを察して、俺はグッとこみ上げてくるものを感じながら言葉を絞り出した。


「・・・分かった」