テレビは、連続ドラマとかも終わって特番になり、次の干支はなんだ、とか来年の抱負とか、年末恒例の番組の宣伝など様々だ。
でも、俺自身年末って感じはしなかった。
新しい年が来るからと言って特別な気持ちになれなかった。



病院の莉桜菜の部屋にやってくる。
静かに病室の中に入ると、ベットの傍らには、莉桜菜の両親がいた。
俺の姿を見ると、薄く微笑んで病室から出て行った。

「ーーー莉桜菜」


ベットに横になっている莉桜菜の名前を呼べば、目を閉じていた彼女のまぶたがゆっくりと開いた。


「ーーーしん、じ、く」
「ごめん、寝てたか」


椅子に座ると、莉桜菜は首を弱く振った。


俺は、莉桜菜は頭を撫でてやる。
彼女は、気持ちよさそうに目を細めた。


「調子は?」
「・・・」
「だよな・・・眠たい?」
「ね、ない・・・」
「そっか」


小さな声で、莉桜菜は一生懸命自分の思っていることを伝えてくれようとした。
でも、あまり負担にならないように最初だけ、話をして後は静かな空間で共に過ごすだけにした。


ーーーー莉桜菜の、命の灯火はもう消えようとしている。


医者は、いつどうなるかもう分からないそうだ。
今、莉桜菜が生きていられるのは、彼女自身の奇跡に近い生命力だそうだ。
覚悟、してください。と言われた。
莉桜菜の両親は、常に彼女の側を離れることはなくなったし、俺もなるべくこうやって莉桜菜の側にいようと決めた。