世間は、すっかり年末モードに入った。


学生である俺たちもテストも終わって、成績も戻ってきた。
思ったよりは良い成績だったので、安心して年を越すことが出来そうだった。
学校も終業式を迎え、冬休みに入る。


その前にあった大イベントクリスマスは、莉桜菜と過ごした。
病院で、莉桜菜の家族と一緒にささやかなパーティーをして、柄にもなくプレゼントも渡してみた。
それは、前に買っていたネックレス。
渡すタイミングがなくて、結局クリスマスになってしまった。
莉桜菜は、驚いていたけれど嬉しそうに受け取ってくれた。




あれから、莉桜菜の体調は悪くなっていくばかりだった。
出かけることが出来たのが嘘のように、莉桜菜の体はベットから起き上がることも難しくなっていった。
話をすることも長く出来ず、一日の大半は眠っている。
そんな毎日に変わっていった。
俺が病院に行っても寝ていることが多くて、まるで人形のように眠るその姿にいつも息をしているか確認してしまう。


「今日も、行くの?」


家を出ようとしていたら母さんに話し掛けられた。


「あぁ」
「あんた・・・大丈夫?」
「は?大丈夫に決まっている」

「なら、いいけど・・・」


心配そうな表情の母さんに見送られながら、俺は家を出た。
年末、街はすっかり正月を迎えられる準備に入っていて、なんだか浮き足立っている気がする。