もしかしたら、担任も聞かされていないのかもしれないが、どちらにせよそれで良かったと思う。
今、クラスメイトは、何でか分からないが莉桜菜は病気で入院しているとだけだ。
皆の中でどんな憶測が飛び交って想像が膨らんでいるかは分からない。
その中で、全にだけは俺が莉桜菜のお見舞いに行っていることを伝えてある。
全は、特に追求しないで、「仲良かったもんな」だけで済ませてくれた。


一筋縄ではいかなかったのが、莉桜菜の周りにいた友人たちだった。
すぐに矛先を俺に向けて、根掘り葉掘り聞いてきたり、呼び出されたり、全くもって迷惑きわまりなかった。
前にもあったのに、まだ懲りていないのか、忘れているのかどちらにせよ、女はめんどくさい。
無視し続けていたら諦めたのか言わなくなった。


どこの病院に入院しているのかも個人情報だからと教師は教えてはくれない。
こういうときは、個人情報保護はありがたいと思った。


「一度家に帰ってから、行くかな」
「荷物重いしなー」
「全は、部活か?」
「そうなんだよ。久し振りだから体動くかなー」


ぐーっと背伸びをしながら全は、部活に行けることが嬉しそうだ。