自分の椅子に座って机に突っ伏する。
それから、深くため息を吐いた。
あー、なんなんだよ、もう。
昨日のあれだけ考えていたのが馬鹿みたいだ。
これだから、人と関わるのとか嫌なんだよ。
一気に疲れ果ててしまった。


突っ伏したまま悶々と考えていた俺は、背中をトントンと誰かに触れられて顔を上げる。
そこにいた人物に俺は固まってしまった。


「あ、ごめん寝てた?」
「・・・イヤ、」
「よかった」


さっき教室を出ていった転校生がそこにいた。
いつ戻ってきたのだろうか。
いや、それより俺になんの用事なのだろう。
俺は、キミに用はないけど。


「真司君」
「なに?」

ちょっと真剣な表情。
なにを言われるんだろう、と俺は少し身構えてしまう。


「---今日も一緒に帰ろーよ」
「・・・は?」
「同じ道だし、いいでしょ?」
「いや、いいでしょじゃなくて」
「決まり!じゃ、また」


転校生は、自分の言いたいことを言い切るとにっこり笑ってから女子の輪の中に行ってしまった。


ポツンと残された俺。
転校生の背中を見ながら、ポツリと思った言葉を口にした。


「---変な、やつ」


転校生、いつも笑顔で人に囲まれて、そして変なやつ。


俺の中で転校生はそう位置付けられた。