「ふふ、本当に成人したみたい」
「・・・良かったな」
「うん・・・ありがと、真司君」


「はい、チーズ!」


パシャ、パシャっと何回かシャッター音がきられた。
高峯さんと莉桜菜のお母さんと俺の母さんのカメラで撮られる。
2人並んで、母さんのスマホを見ると満面の笑みの莉桜菜と少し引きつった顔の俺の姿が映し出されていた。
これが・・・いつの日かの俺たちの姿になっていたのだろうか。


「すてきっお母さん、後で私に送ってね」
「分かったわ」
「ありがとうございました」


莉桜菜は、高峯さんや俺の母さんにお礼を言っている。


「喜んでもらえたようで良かったわ」
「本当は、このままどっか行けたら良かったんだけどね」
「大丈夫です、これで満足です!」


綺麗に着飾って、街を歩いたり、神社とかに行ったりするのもいいだろうが、莉桜菜には少し厳しい。
莉桜菜自信も分かっているからか、笑顔で躱していた。


俺は、ジッと莉桜菜の背中を見て、自分を見る。


「莉桜菜」

「ん?」


意を決して莉桜菜を呼んで、振り返った彼女を手招きした。
莉桜菜は、首を傾けながら俺のところにやってきた。


「どうしたの?」
「良い機会だから、これもやっとこうかな・・・と」
「え?・・・・っえぇ!?」


俺は、ひょいっと莉桜菜の背中と膝裏に手を滑り込ませて抱きかかえた。
まるで、羽が生えているかのように莉桜菜の体はとても軽い。