17歳、6月『キミ』はやってきた。


「転校生の塩田 莉桜菜(しおた りおな)です。よろしくお願いします」


にっこりと笑う塩田 莉桜菜は、隣町からやってきた転校生だった。
肩まである長い髪に、整った顔付きは男受けしそうで、現に転校生が自己紹介を済ませると周りの男どもはコソコソとかわいいだのと話をしている。
俺は、教室の一番後ろの窓側の席からぼんやりと転校生の自己紹介を聞いて、そのまま窓の外に視線をずらした。


6月と言えば梅雨だ。
雨がたくさん降るという季節だというのに外は、梅雨なんて思わせないくらいに晴天だ。
地球温暖化が進んでいる現在、季節感というものは感じられなくなってきつつある。
春夏秋冬の時期の境目が分からなくなってきていたり、異常気象など狂ってきてしまっている。
最近は天気予報も当てにならない。
雨が好きだというわけではないけれど、梅雨の時期くらいはしっかりと降ってほしいなと思う。


ガタッと物音がして俺の意識は戻ってきた。
音のした方をちらりと見れば、転校生が椅子に座るところだった。
ーーー俺の隣に。


そういえば、隣空いていたなと他人事のように思う。
転校生は、椅子に座り鞄を置くと俺の方を向いた。


「よろしくね」


にっこりと満面の笑みを向けられた。


「・・・あぁ」


俺は一言、そう返すことしか出来なかった。