「今、俺が莉桜菜に対して感じているのが『恋愛感情』かどうかはいまいちはっきりしないけど・・・今は、莉桜菜の側にいたいって思う。彼女が叶えたいことを俺は側で叶えてやりたいと思っているし、辛いときに側にいたいとも思う」
「最終的に、辛い思いをするのは、あんたでも?」
「・・・それでも、今莉桜菜の側にいないときっと後で俺は死んでしまう位に後悔するんだと思う」
母さんの顔は見られなかった。
椅子の背もたれに全体重を預けて、俺は窓の外の流れる景色をぼんやりと見ていた。
「はーーーこの子って子は・・・」
隣で、深く、深くため息が聞こえてきた。
そして、不意に頭に母さんの手が置かれたかと思うと、ぐしゃぐしゃに掻き乱された。
「ちょっおい!」
「全く一途なのは誰に似たんだかねー」
「は?」
「何にも」
満足したのか、母さんは俺の頭から手を離すと、曲がるためにウインカーを出した。
「あんたが、そんなになる莉桜菜ちゃん・・・ずっと側にいてほしかったわ」
母さんのその言葉に、俺は何も言えなかった。


