「聞きたいこと?」
「そう・・・あんた、莉桜菜ちゃんのこと、好きなの?」
「は?どうしたんだよ、突然・・・」
俺は驚いて母さんの顔を見た。
運転している母の横顔は真剣だ。
「いやね、あんたがこんなに誰かのために一生懸命何かしたいって思う気持ちは素敵だと思っているんだけどさ、莉桜菜ちゃんが好きなら、逆にキツいことなんじゃないかなって思って」
「俺は、別に・・・」
「お母さんに嘘言わなくたって良いからさ、真司。キツくない?辛くない?莉桜菜ちゃんの側にいること」
母さんに言われて俺は一度口を開けたけど、また閉じた。
光平にもそれらしいこと言われたことがあったな。
そのときは、確か好きとかそうじゃないとかそんなことよくわかんなくて、でも、友だちだけどそれより大切な存在とは思っていた。好きとかいう感情はよく分からないままだった。
でも、今は、どうだろう。
莉桜菜のおかげで俺は変わることが出来たと思う。
コミュニケーションが苦手で、いつも自分を隠していた俺は、彼女のおかげで人と関わるようになって輪が広がっていった。
そして、彼女が隣にいることは最初は、何で、て思っていたけれど、だんだんとそれが当たり前になっていって、いないとなんだか寂しい気持ちにもなったりした。
果たして、これが『恋い慕う』というものなのかどうなのかは、正直分からない。
莉桜菜が病気だと知らされて、余命も少ないと宣告されてしまった今は、それがどうしようもなく辛い。
近い未来、俺の側には、莉桜菜はいなくなってしまうんだと、そう思うと心は張り裂けそうになる。


