キミに伝えたい言葉がある



はぁ、と深いため息が俺の口から零れた。


「なんだよ、それ」
「あんたこそ、今日は莉桜菜ちゃんの大事な日なのに、学校に行くなんて思っていたの?」
「仕方ないだろう・・・今日は、学校の日なんだから・・・」


俺は、力なく椅子に座った。
母さんは、俺の前に朝食を並べながら、呆れたように言う。


「莉桜菜ちゃんが可哀想でしょ?全く・・・」
「は?どういう意味だよ?」
「分からないなら、それでいいわ。とにかく今日はあんたは学校は休みで、莉桜菜ちゃんのところに行くの」
「そうかよ」


勝手に休みになっているのはおかしいと思うが、莉桜菜のところに行けるのであればもう何も文句はない。
俺は、一度自分の部屋に戻って制服を脱いで私服に着替えなおした。
それからまたリビングに戻って朝食を食べて、スマホを開けば、学校の友人からいくつかメールが入っていた。
俺の体調を慮る内容だったので、胸が痛んだが、大丈夫とだけ返信する。


「10時からだからその前に出るわよ」
「母さん、準備は?」
「あと少し」
「そっか、手伝いは?」
「あら、珍しい・・・でも、大丈夫よ」



忙しそうに動く母さんに俺は申し訳なくなる。
でも莉桜菜のために、そして俺のために動いてくれているんだと思うと、ありがたい気持ちにもなる。