残りの日々を充実に過ごせるように。
これから先、お母さんが現状を否定して過ごさないように。
「受け入れて・・・楽しく過ごした方がいいと俺は、思いました・・・ごめんなさい、俺みたいなのが余計なことを言いました」
「・・・いいえ、こちらこそ、ありがとう」
お母さんは涙を拭って、微笑んだ。
その笑みは、莉桜菜にそっくりで少し胸が痛くなった。
でも、怒っていない様子で安心した。
俺からは色々と言ってしまったけれど、一度莉桜菜とちゃんと話をする必要があると思う。
家族だからこそ、ちゃんと心の内を話さないと、後悔だけが本当に残ってしまってはダメだから。
「・・・まだ、ここにいますか?」
「一緒に行くわ」
お母さんが立ち上がり、俺も同じく立った。
「目・・・赤いかしら?」
「少し・・・でも、大丈夫だと思います」
「ならいいわ・・・莉桜菜のお友だちがあなたみたいな子で、本当に良かったわ」
「え?」
「莉桜菜のことをちゃんと考えてくれていて、こうやって側にいてくれて」
そう言われて、俺はお母さんから視線を外して、遠くを見た。
その先には、一体何があるんだろうか。
「いえ・・・俺は、莉桜菜さんに救われたんです」
「え?」
「莉桜菜さんがいたから・・・今の自分がいると思っています」
俺にとっての神様みたいな存在が、いなくなろうとしている。


