キミに伝えたい言葉がある




「保育園にもあまり行けなくて・・・体が弱いだけじゃなくて、白血病っていう病気にもなってしまった・・・本当に辛かったと思うわ。見ていられなくなったもの」


運良くドナーが見つかったけれど、手術までの道のりはとても辛く、幼い我が子にこんな試練は酷だと、私は神を恨んだ。
でも、莉桜菜は本当に頑張ってくれて、病気に勝つんだっていいながらいつも笑顔だった。


話す莉桜菜のお母さんの目から一筋の涙が零れ落ちた。


「やっと元気になって私たち家族は安心したわ。これで、莉桜菜は病気から解放されるって。学校にも行けるようになって、医者に言われていた再発危惧期間も過ぎて、莉桜菜は健康になった・・・・なったって思ったのよ・・・」


お母さんは顔を手で覆って、膝に蹲った。


「ごめんなさい・・・健康に産んであげられなくて、本当に、ごめんなさい・・・っ私が、変わってあげられたらどんなにいいか・・・っ」
「それは、違うと思います」
「・・・え?」


お母さんは、顔を上げた。
涙で濡れたまま、俺をぼんやりと見た。


「健康に産んであげられなくて・・・とか、自分を責める言葉は、莉桜菜は望んでいないです・・・確かに、なんで私だけ、と恨み言は言っていました・・・でも、お母さんのせい、なんて一言も言っていなかったです」

「っ、りおな・・・っ」

「もう、莉桜菜は、昔のような苦しい思いはしたくないと言っていました。・・・お母さん、俺は莉桜菜の意思を尊重したいと思っています」