明日、大丈夫だろうか。


「ダメかな?急すぎるかな?」
「いや・・・聞いてみる。もしダメだったら、近い日で決めても良いか?」
「もちろん!」


俺は、一回席を立って携帯を出した。
電話番号を出そうとして、はた、と思い止まる。
ここは病室だ。携帯の使用は遠慮してくださいってなるところもある。


「ちょっと、電話してくるな」
「うん、ごめんね」


一回、電話しても大丈夫な場所に移動した方が良いだろうな。
俺は、莉桜菜に断ってから一度、病室を出た。
とりあえず、病院から出た方が一番良いだろう。
エレベーターに乗って一階、外に向かう。
入り口出てすぐ横に移動して、俺は電話帳を呼び出した。


母さんの番号を呼び出して、電話をする。


『はい?』
「母さん、真司」
『どうしたの?』
「莉桜菜の振り袖とかの件だけど、明日・・・とか急だよな?」
『やっと莉桜菜ちゃんに言ったの?』
「俺も色々あったんだから仕方ないだろう」


決まってから1週間後に話をするって確かに遅いと思う。
しかし、俺にも事情って言うものがあるんだから仕方ない。


『別に、明日でも大丈夫よ』
「え、まじか。急だろ?」
『いつでもいいように毎日午前中は開けて貰うようにお願いしていたのよ』


母さんの配慮に俺は、驚いた。


「そうなのか、」
『明日ね、伝えておくわ・・・莉桜菜ちゃんには、10時位って言っといて』
「ありがとう」
『いーえ、遅くならないうちに帰ってきなさい。オーディションのことも聞きたいし』
「・・・あぁ」


通話を終わらせて、俺は暗くなったスマホの液晶を見た。