莉桜菜は、笑う。
でも、その笑顔にあまり元気がないような、気がした。


「・・・莉桜菜は?」
「ん?」
「調子、どうなんだ?」
「どうって・・・あんまり変わんないよー?元気元気」


腕を上げて、元気だと言うが、俺はそうでもないような気がした。
でも、莉桜菜の言うとおりなのかもしれないし、今日は追求しないことにした。


「そうか、ならいいけど」
「うん」
「じゃあ、今日は、莉桜菜に嬉しいお知らせがある」
「?」


莉桜菜は、首を傾けた。
着物の件、実はまだ莉桜菜に話していなかった。
オーディションが終わってから、ゆっくりとした状態で話したかったからだ。


「莉桜菜が言ってたやりたいことの一つが、叶うことになりました」
「!ほんとう!どれ!?」

「振り袖着て、成人式を体験してみたいってやつ」

「うっそ!!」

「ほんと」

「やったーー!!」


莉桜菜は、手放しで大喜びした。
さっきまでの笑みは作り物だったのかってくらいに今度の笑顔は生き生きとしている。
体を震わせて莉桜菜は、体全身で喜びを表現した。


「嘘じゃないよね?エープリルフールじゃないよね?」
「嘘じゃないし、エープリルフールは、まだ先」
「キャー嬉しいっ」


ふふふっと莉桜菜は本当に嬉しそうで、俺も嬉しくなる。


「病院の許可も取ってあるから、莉桜菜の都合の良い日を聞いて、美容師さんに連絡したらすぐに出来るよ」
「本当?」
「あぁ、何時にする?」
「じゃあ、明日!」

「・・・明日?」


莉桜菜の答えに、俺は驚いた。
まさか、明日と言われるとは思っていなかったからだ。