「いいんじゃない?」
「え?」
「あんたの人生なんだから、好きなようにしたらいいわよ」


思ったより、というよりあっさり納得してくれて、母さんの興味はテレビに向いてしまった。
それでいいんだと思いつつ、反対されなかったから安心して俺は自分の部屋にこもった。
今日は、すぐにベッドにダイブしないで、あまり使わない机に向かった。


莉桜菜に貰ったリストを出して、広げる。
一番最初に書いてある成人式みたいに着飾ることは出来ることになった。
俺は、赤ペンを出して、番号のところに丸をつけた。
それから、準備しなくても出来そうな事には、丸をつけていく。


「自転車は・・・出来るのかな・・・」


これは、担当医と相談しなくちゃいけない。


「それから・・・」


俺の目は、最後の「公園の桜を見たい」で止まった。


こんなのリストに書かなくても叶えられるに決まっているじゃないか。


俺は、番号の隣に丸をつけようとして、しかし手は動かなかった。
丸をつけたくても、俺の意に反して手が動かない。
それが、まるである答えを出しているようで、でも、俺はそのことを信じたくはなかった。