「なぁ、」
「なに?」
「振り袖レンタルとか、出張で髪とかしてくれるところ知らない?」
「は?急にどうしたの」


母さんは、目を見開いて俺を見てきた。
俺は、正直に話した。
莉桜菜の身に起きたこと、どうなってしまうか。
そして、俺が彼女に対して何がしたいのか。
莉桜菜が願うことはできる限り叶えてやりたい。


「ーーーーーそう、そんなことが・・・元気そうな子だったのに・・・」


母さんは、眦に涙を浮かべながら小さく息を吐いた。


「莉桜菜が、成人式みたいに振り袖を着てかわいくしたいんだ・・・俺はそれを叶えたい」
「振り袖と髪ね・・・」
「病院から出したくないから、出張してくれる人が良い」
「お母さんも探すけど・・・病院は良いって?」
「え?」
「そうやって出張で美容師さんつれていったりすること」
「・・・確認してない」


あ、と思った。
そんなこと病院に確認しなきゃいけないんだ。
知らなかった。


母さんは、やれやれとため息をついた。


「まず、病院に大丈夫か聞いてみたら?その間、お母さん知り合いに聞いてみるから」
「いいのか?」
「えぇ、してあげるわよ」
「ありがとう」


自分で探すのをどうすればいいのか悩んでいたから母さんの申し出は助かった。


「俺、明日病院に聞いてみる」
「そうしなさい」
「うん」


俺は、母さんにもう一度お礼を言ってから自分の部屋に上がった。
それから、スマホでインターネットを開いて、検索画面を出す。