顔を見合わせて、莉桜菜は小さく笑う。


「真司君、すごい顔」
「莉桜菜こそ」
「ふふ、」


泣いたからなのか、思ったより心はすっきりとしていた。
それは、莉桜菜も一緒のようだった。


俺は、一つ深呼吸して莉桜菜の手を取った。


「真司君?」
「最後に、確認させてくれ・・・本当に・・・」


治らないのか、は言葉にならなかったが、莉桜菜は察してくれたみたいで、頷いた。


「うん・・・これは、変えられないことみたい。私の、人生のレールの終着点・・・大分早すぎたけどね」


変わらない真実。
どうあっても、終着点は伸びることはない。
俺は、覚悟を決めなければならないのだ。
この小さな手を、温もりを感じることができなくなる日が近い未来に来るということを。


「・・・そうか、」
「たくさん泣いたから、頭痛いけど、すごくスッキリした。ね、真司君私のお願い、聞いてくれる?」

「お願い?」


「うん、死ぬまでにやりたいこと、たくさんあるんだ。それを一緒にしてくれる?」

「やりたいこと?」


ずきっと胸が痛んだけれど、俺は気づかないふりをした。


「そう、やりたいこと。真司君としたいこと」

「・・・わかった。やりたいこと全部、しよう」

「ありがとう」


どれくらい彼女に時間が残されているのかは分からないけれど、その命の灯火が消えるそのときまでに莉桜菜がしたいと思うことは全部叶えられることはしてやろう。


今、俺が出来ることはそれだと思った。