「・・・お母さんたちには、申し訳ないよ・・・」
「・・・」
「でもね、もう私は決めたんだ」
覚悟は出来ている、って莉桜菜は言った。
でも、俺はそれは彼女の本心には聞こえなかった。
俺は、自分の涙を拭って、莉桜菜の涙も拭ってやった。
「それは・・・本心なのか？」
「え？」
「・・・・ごめん、」
そんなわけないよな、不謹慎なことを言ってしまった。
自分の言葉を反省していると、莉桜菜は俺に飛び込んできた。
「わ、」
「・・・本当はね」
俺の肩口に顔を埋めて、莉桜菜は小さく呟いた。
「本当は、怖いの・・・」
「うん、」
「本当は、生きたいよ・・・みんなと一緒に大人になっていきたい・・・ねぇ、真司君・・・わ、たし・・・死にたくないよ、死にたくないよぉ」
そう言って莉桜菜は声を上げて、泣いた。
俺は、莉桜菜の細い体を抱きしめながら、同じように泣くことしか出来なかった。
神様は、本当に残酷だ。
なんで、莉桜菜なんだ。
彼女が一体何をしたっていうんだよ。
声が嗄れるまで、涙が枯れるまで泣いた。
２人で、泣いた。
どれくらいそうしていたんだろう。
「・・・ごめんね」
莉桜菜が、体を離す。
俺の肩は、莉桜菜の涙でびしょ濡れで、互いに顔はぐちゃぐちゃ。
