「いや、なんで来たのかなって。別に来なくても良いんだよ?やることたくさんあるだろうし」


小さな拒絶。
思ったよりは追い出されるくらいじゃなくて良かった。


「来たいから、来た。暇だろ?話し相手必要でしょ」
「・・・・なにそれ」


フッと莉桜菜は小さく吹き出した。
笑みを向けられて少しホッとした。


「これ、」


受け入れてくれたと思ったので、俺は買ってきた物を莉桜菜に渡した。
莉桜菜は、首を傾けながら袋を受け取って、中を見ると目を輝かせた。


「あ、ゼリー!」
「・・・それくらいは食べれるかなって」
「ふふ、食事制限はしていないから普通に食べられるよ」
「そうなのか」
「ん、でもありがと。ゼリー好きだから嬉しい」
「飲み物もあったらいいかなって」
「重ね重ねありがたい」


喜んでもらえて良かったと思う。
それにしても食事制限はないって普通に食べて大丈夫なのだろうか。
疑問には思ったが、それを彼女に聞くことはしなかった。
そこまでデリカシーのない人間ではないつもりだ。


「冷やして後で食べよー」


莉桜菜は、嬉しそうに部屋にある冷蔵庫に入れた。


「真司君、ありがと」
「いいえ」
「お見舞いにも、来てくれて嬉しいよ」


にっこりと莉桜菜は笑って、ベットに腰掛けた。


「どうぞ」


莉桜菜に勧められて俺はベットの近くにあった椅子に腰掛けた。