病室の番号は覚えている。
重い足取りで、俺はエレベーターを使って病室に向かった。
莉桜菜のいる病棟に着いて、まっすぐ彼女のいるだろう病室に行く。
一度だけ入った彼女の病室はすぐ見つかって、入り口に莉桜菜の名前も書いてある。


閉められたドアのドアノブをジッと見つめる。
この先に、莉桜菜がいる。
どんな姿でいるのだろう。
彼女の姿を思い浮かべることは出来なかった。
どれくらいジッとしていたか、いつまでもこのままではいられないので、恐る恐るドアをノックすると、中から返事が返ってきた。
莉桜菜の声だ。
その声からは、体調が悪そうには聞こえなかった。
俺は、ゆっくりとドアを開けた。
来訪者を待っていた莉桜菜は、俺の姿を見て大きく目を見開いた。


「真司、くん?」
「・・・よう、」


小さく、挨拶をする。
シンッと沈黙がよぎる。
先に静かな空気を打ち破ったのは莉桜菜の方だった。


「お見舞いに来てくれたの?」
「・・・まぁ、」
「なんで?」
「・・・なんで?」


俺はうつむき気味だった顔を上げた。
目の前にいる莉桜菜の目はどこか悲しさを含んでいるように見える。