「わっかんねぇよ・・・」

「なんでだよ」
「なんでって・・・」

「真司」


光平が、俺の名前を強く呼ぶ。


俺が目を向けるとまっすぐ俺を見ていた。


「お前は、莉桜菜ちゃんのそんな状態を聞いて、どう思ったんだ?そしてどうしたいんだ?目を背けたいのか?知らない振りでもして避けたいのか?」
「そんな・・・」


病気だって分かって、莉桜菜を避けるなんてこと絶対にしない。
莉桜菜は苦しんでいるんだ。


「なんでそんなに悲しいんだよ、辛いんだ?辛いのは莉桜菜ちゃんだろう?」
「友だちが病気だったら誰でも辛いと思うだろう?悲しくなるじゃないか」
「そうだろうな。で?そのままにしておくのか?」


そのままになんてしていたくない。
莉桜菜が元気になるように何かしたいと思う。
でも、何をすればいいのか分からない。
それにだ俺は健康体で、元気だ。
そんな俺を見て、彼女は何か感じることがあるんじゃないだろうか。
じゃあ近づかない方がいいんじゃないんだろうか。


俺は、今の自分の思っていることを光平に全て話した。
最後まで俺の話を聞いていた光平は、聞き終えると深く、深くため息をついた。


「お前って、ほんと馬鹿だな」
「は?」
「そんなの本人しか分からないじゃん。もし、彼女がそんな状態だったら俺は普通に毎日見舞いに行って側から離れないけどね」
「え・・・」
「お前、深く考えすぎなんじゃないの?シンプルに考えてさ、莉桜菜ちゃんの側にいれば良いのに」


そんな簡単に言ってくれる光平に俺はなんとも言えなかった。