莉桜菜のお母さんは俺に気づいてその場に立った。
俺は、会わせる顔がなくてぶっきらぼうに頭を下げてから足早に病院を出てしまった。
脇目も振らずに、自分の家に帰る。
病院から家までは少し距離があった。
しかし、そんなことを気にせず家に帰り着くと俺は自分の部屋に閉じこもった。
ベットに飛び込み、顔を埋める。


脳裏には、さっきの莉桜菜の姿が離れない。


ガン。再発。手術。・・・あと少ししか生きられない。


「なんでだよ・・・」


なんで、莉桜菜がそんな状態になっているんだ?
小さい頃に白血病?移植して治ったはずだった。
神様は残酷だ。
莉桜菜が一体何をしたっていうのだろうか。
なんで、なんで。
一度ならず二度も彼女を苦しめるのだろうか。
しかも、最悪の形で。


「っ」


気づいたら、俺は泣いていた。
肩をふるわせて、顔はベットに埋めているからシーツがどんどん涙で濡れていく。
それにも構わず、俺はしばらく涙が止まらなかった。