「はい・・・行きたいです」
だから、俺はしっかりと頷いていた。
莉桜菜のお母さんは、俺の返答に頷くと少し待っていてと一度家の中に戻っていった。
それから少ししてから荷物を持って出てきた。
家に鍵を掛けて、俺の側に来る。
「さぁ、行きましょうか」
促されて、俺は莉桜菜のお母さんの車に乗って一緒に病院に行くことになった。
道中、色々なことを聞かれた。
莉桜菜とどうやって出会ったのか、とか今までどんな風に莉桜菜が学校で過ごしていたか、とか時々夕方に出かけていたけど何をしていたか知っているか、とか。
そのどれもに俺は関わっていたから包み隠さず話した。
最後にギターを弾いていることを話すときは恥ずかしさを感じていたが、莉桜菜のお母さんは、すごいと褒めてくれた。
莉桜菜の病院は、街の中で一番大きな総合病院だった。
今まで大きな病気や怪我などをしたことがなかったから俺は病院の大きさに驚いた。
駐車場に車を止めて、莉桜菜の病室に向かう。
どこか分からないので、莉桜菜のお母さんの後ろをついて行きながら、こんなところに莉桜菜が本当にいるのだろうかと不安になった。
エレベーターに乗って、病院の中を進む。
やがて、莉桜菜のお母さんは、一つの大きな扉の前で足を止めた。
扉の傍らにあるプレートを見てみると、塩田 莉桜菜と書かれている。
1人の名前しかないので個室なんだろう。
莉桜菜のお母さんは、ドアを開けて中に入っていった。


